痛風

発作がおこらなくても薬を勝手にやめてはいけません。

痛風とは

 暴飲暴食した翌朝、急に足の親指の付け根が赤くはれて指先がチクチク痛い

 そんな経験はありませんか。

 違和感や痛みを放置してそのまま食生活を変えることなく過ごしていると、ある日突然歩けないほどの激痛におそわれてあわてて病院にかけこんでくる患者さんもいます。これを痛風発作といいます。こうなると安静にしていても風が当たるだけで痛い、ということで痛風と呼ばれています。
 痛風発作は足の親指の付け根の関節に発症することが大多数ですが、ひざやひじ、手首や指の関節などに発症することもあります。



30代が発病のピークです

 現在、国内の痛風患者数は約100万人いるといわれ、その90%が男性です。かつては40代から50代で発病する場合が多かったのですが、生活習慣の変化とともに若年化が進んでおり、20代、30代で発病する人が急増し、今や発病年齢のピークは30代です。

 痛風は血液中の尿酸値の高い状態(高尿酸血症)が数年続くと引き起こされる関節炎です。「尿酸」は血液中の老廃物の一つで、血液中の尿酸が上昇し、それが関節の中にたまると結晶となり、これを白血球が処理しようとすると炎症がおこります。これが痛風発作です。



 20代の場合、健康診断の検査項目に尿酸値が含まれていないことも多く、危険な数値に達していることに気が付かないケースもあります。ある日突然足の指の付け根に激痛が走り、病院で検査すると痛風だと判明した、というのも珍しくありません。

痛風の症状と病因

 突然激痛におそわれることが多いですが、人によっては軽い関節痛程度の場合もあります。また、痛みは一週間から二週間で治まることがほとんどであるため、とりあえず湿布薬などでしのぎ、治療を受けずにそもまま放置してしまう方も多いようです。その場合の多くは、半年から数年を経て同じ症状が再発してしまいます。

 痛風は遺伝的に尿酸値が高くなりやすい体質で、それにさまざまな生活習慣が加わることで発病します。痛風を引き起こす生活習慣は暴飲、暴食、肥満、アルコールの飲みすぎ、運動不足、精神的ストレスなどです。
 また、尿酸値の高い状態(高尿酸血症)が続くと、高血圧や高脂血症、糖尿病など、多くの生活習慣病を併発しやすいことが分かっています。逆に言えば、高尿酸血症を治療することは、それら生活習慣病の予防・治療につながります。

痛風の治療

 痛風の治療は、痛風発作が起きている場合は発作を止めることが第一で、発作が起きていない時は血液中の尿酸を減らすことが目的です。

 投薬治療で尿酸値をコントロールし、定期的な血液検査でのチェック、生活習慣や食生活、仕事の状況などかかりつけ医と相談しながら継続的に治療していきます。 痛風発作が起きていないからと言って勝手に薬をやめてしまうと、また発作をくり返す危険性があります。かかりつけ医とよく相談して治療をすすめる必要性があります。

 尿酸は絶えず身体の中で作られています。血液中の尿酸値が上がると、血液に溶けにくくなり、結晶となりやすくなります。まずは、菜食を中心とした食生活に切り替え、尿酸が体内にあまりできないように心がけましょう。

  プリン体を摂りすぎない
 尿酸といえば、「プリン体」のことを連想する人も多いでしょう。プリン体は、食品に含まれる物質で、体内で尿酸に変わります。プリン体を多く含む食品はビールやレバー、干物などですが、それらに限らず肉類をはじめ多くの食品に多かれ少なかれ含まれています。どのようなメニューであっても、たくさん食べればそれだけプリン体を摂取していることになり、それだけ尿酸は増えます。プリン体を多く含む食品を避けることも大事ですが、特定の食品にだけ注意するのではなく、慢性的な食べ過ぎ、飲みすぎを止め、適度な運動を含め、生活習慣を改善することが一番重要です。



  水分を多くとる
 水分を多くとると尿量が増加し、尿とともに尿酸が排泄されやすくなります。水分を十分に摂取しましょう。心臓病などの持病がないかぎり、夏でも冬でも一日2リットル以上の水分をとるようにしましょう。水分は、できるだけ水・お茶・ウーロン茶などで摂り、ジュースや炭酸飲料などのカロリーが高いものは避けましょう。

  野菜を多くとる
 尿酸はアルカリ性から中性によく溶けます。野菜を多く食べると尿がアルカリ性になり、尿中の尿酸が溶けやすくなって、尿路結石の形成を防ぎます。野菜、イモ類、海藻類などのアルカリ性食品を沢山摂り、尿をアルカリ性に保つことが大切です。

  アルコールは控える
 アルコールは尿酸値を上昇させる作用があり、尿酸の排泄を悪くする乳酸値も上昇させます。特に、ビールはプリン体を多く含むので、一番よくありません。アルコール飲料はできるだけ控え、飲む際もプリン体の少ない焼酎などを少量たしなむ程度にしましょう。

  適度な運動を
 適度な運動は、肥満、脂質異常症、高血圧症などの改善に効果があり、ひいては痛風治療に役立ちます。一方、過度な運動は、血清尿酸値の上昇を招きます。週3日程度、軽い運動を継続して行うことが効果的です。

  投薬治療で尿酸値をコントロール
 痛風発作が起きている場合、まずは消炎鎮痛剤で痛みや炎症を抑えます。
 発作が起きてない場合でも、血中尿酸値が高い場合や生活習慣の改善で効果が出ない場合は投薬療法を行います。尿酸が増える人は、体内でつくられる尿酸が過剰になる尿酸合成過剰型と、体内から排泄される尿酸が低下する尿酸排泄低下型、そしてこの二つのタイプの混合型に分けられます。投薬療法はこのタイプ分けをもとに患者さんに合わせて処方します。